「匂いのタクト」

奈良県奈良市でＡＢＡ療育を行っている児童発達支援・放課後等デイサービス事業所「ＡＢＡスタジオこれっと」です。

先日、WHOにより緊急事態宣言終了が発表されましたが、世界中に広がった新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活様式を大きく変えてしまいました。マスク着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスなど、これまで意識していなかったことを意識的に行動化する必要性に迫られました。

ＡＢＡの枠組みでは、環境の変化により頻度が少なかった行動（マスク着用）が増えたことと、新しい行動（距離を置いて話す）を学習したと説明することができます。注意が必要な点として、マスク着用や手洗いは、コロナに感染しないために増えた行動（負の強化）と考えることもできます。療育はもちろん、日常生活でも正の強化（強化子により行動が増えること）で行動を増やしていくことが望ましいと言われています。

最近になり、マスク着用が個人の判断になりましたが、屋外でマスクを外した時に植物の匂いなど、自然由来の香りを感じる機会を増えたと感じています。タクトは、五感で感じたことを言葉で伝えるという報告言語行動ですが、「花の匂い」「田んぼの匂い」「雨が降った後のアスファルトの匂い」など、匂いをタクトする機会がマスクのせいで奪われてしまったのではないかと感じます。

コロナ渦が及ぼした発達や言語行動への影響については、今後世界中で様々なレポートが挙がってくると思いますが、日常生活のあらゆる機会の中で、五感を使って相手に伝える機会を増やしていくことが大切だと改めて感じています。

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